派遣料金とスタッフ賃金の差をそのまま会社の利益と表現すると、買い手の採算検討と食い違います。請求の単位、給与の対象時間、社会保険料や交通費などの費用をそろえ、派遣先別の収益を再計算できる資料にします。単価改定の履歴と、賃金を見直す予定も併せて整理しましょう。
請求と給与の単位・締め日をそろえる
時間単価、日額、月額の請求を区分し、給与側も通常時間、時間外、深夜、休日の構成を示します。給与と請求の締め日が異なる場合は、同じ期間へ合わせるための調整を記録します。契約単価と実際の請求額が違う案件は、精算や欠勤控除の根拠を確認します。
比較資料には税の扱い、交通費や立替費用が含まれるかを明記します。単価が上がった月でも、対象者や職種構成が変わっていれば、料金改定だけが増収理由とは限りません。条件を同じにした比較と全体実績を別に示します。
差額から利益までの費用を分ける
厚生労働省の説明では、公表されるマージンには派遣会社の利益のほか、社会保険料や教育訓練費等も含まれます。公表マージン率と社内の粗利率・営業利益率を同一の指標としないことが必要です。社内原価に含める範囲を明記し、根拠を経理担当と確認します。
表は横にスクロールできます。キーボードでは表を選択して左右キーで確認できます。
| 比較する数値 | 合わせる条件 | 根拠資料 |
|---|---|---|
| 請求額・単価 | 時間/日/月、精算、費用・税の扱い | 個別契約、単価合意、請求明細 |
| 支払賃金 | 通常・割増時間、対象期間、手当 | 勤怠、給与台帳、賃金テーブル |
| 案件別粗利 | 社内の原価範囲、直接費の対応 | 保険料、採用・送迎・教育の明細 |
| 全社利益への接続 | 共通費、配賦方法、期間調整 | 総勘定元帳、月次決算、調整表 |
単価改定と賃金改定をつなげる
派遣先と合意した料金変更日、スタッフの賃金変更日、協定や規程の更新日を別の列にします。料金の変更が遅れて賃金だけ先に変わる期間があれば、影響する稼働時間と費用を整理します。口頭の値上げ見込みは合意済みの単価と区別します。
協定対象者や勤務地が変わる案件では、労務担当が適用する条件を確認します。買い手には料金を自由に上げられるという説明をせず、顧客の承認経路、更新時期、過去の交渉履歴を提示します。
粗利を圧迫する費用の所在を確認する
採用広告、送迎、寮、待機、教育、営業担当の費用を、案件へ直接対応するものと全社費用に分けます。費用を除外して高い率を示す場合は、除外内容を必ず添えます。全社決算と案件別表の差を調整表で説明し、分析表の合計が財務資料へつながる状態にします。
買い手面談前に行う採算確認
主要派遣先の月次資料から、請求明細、勤怠、給与台帳を照合します。単価変更、残業構成、採用費の一時増加などの理由を添え、実績と今後の仮定を別の列に置きます。未確定の値上げや費用削減を将来利益として確定扱いせず、確認担当者と必要な合意を記録しましょう。
料金・賃金の説明に関する質問
公表マージン率が高ければ会社も高く売れますか
費用構成、職種、継続性、法令対応、顧客条件を併せて検討します。率だけを企業価値や売却価格へ直接換算できません。
買収後の賃金統一を収益改善に含めますか
労働条件、必要な手続、本人への影響、システム対応を個別に確認します。未合意の変更は計画上の仮定として区分してください。
相談時の費用
手数料負担は譲渡後に手元へ残る金額に影響します。当センターでは、譲渡企業様から着手金・中間金・月額報酬・成功報酬をいただかない設計としており、検討初期から相談しやすい体制を重視しています。

