人材派遣会社のM&A・売却とは
人材派遣会社では、収益構造、人材基盤、取引先契約、許認可・労務管理を整理し、承継後に事業が続くかを確認します。
会社売却で確認する、収益・人材・承継条件
収益構造
売上、粗利、稼働率、取引先集中、契約更新率を整理します。
人材基盤
登録者、稼働スタッフ、営業担当、責任者、定着率を確認します。
承継リスク
許認可、契約、個人情報、労務管理、説明順序を事前に設計します。
実務者が確認する派遣業DD項目
法令・帳票
許可更新、労使協定方式、派遣元管理台帳、就業条件明示、個別契約、抵触日管理を確認します。
人材・労務
雇用契約、社会保険、有給、36協定、キャリアアップ教育訓練、苦情処理、離職率を確認します。
収益・営業
派遣料金単価、賃金、粗利率、稼働率、取引先集中、採用単価、媒体別応募数を確認します。
初期相談で見える化する項目
- 許可・契約・スタッフ稼働に関する強みとリスク
- 主要取引先とスタッフ構成
- 譲渡スキームと希望条件
- 買い手候補へ開示できる情報範囲
株式譲渡と事業譲渡で、何が変わるか
人材派遣会社のM&Aでは、経営主体を引き継ぐ方法と、対象事業を選んで移す方法で、許可・契約・雇用の手続きが異なります。価格や税金だけでなく、営業と雇用をつなぐ条件を比較します。
株式譲渡
- 株主が変わり、事業者・雇用主である法人は継続します。
- 役員、名称、所在地等を変更する場合の届出を確認します。「株式譲渡だから手続き不要」とは判断しません。
- 派遣先との契約は、株主変更に関する通知・承諾や解除条項の有無を確認します。
- 会社に残る借入・債務や過去の労務上の負担も調査対象になります。
事業譲渡
- 譲渡する事業、資産、契約、引き受ける負担を個別に定めます。
- 譲受側の許可の有無と事業所の新設に応じ、新規許可・変更届等の要否を管轄労働局に確認します。
- 派遣先契約の移転手続きを契約ごとに確認します。労働契約を移す場合は、対象者への説明・協議と個別の承諾が必要です。
- 営業開始可能日、給与・請求の切替日、システム移行日を整合させます。
事業の一部だけを売る場合や、派遣・職業紹介・請負を併営する場合は、事業区分ごとに許可と契約の扱いを確認します。名称だけで一律に判断せず、取引内容を管轄労働局と専門家へ伝えて相談します。
相談から引継ぎまでの判断の順序
- 目的と条件:売却、親族・社内承継、単独継続を比較し、雇用・拠点・代表者の関与など譲れない条件を整理します。
- 匿名概要と候補比較:職種・地域・規模・強みを集計し、情報開示の範囲と順序を決めます。買い手の価格だけでなく運営方針も比較します。
- 調査と契約:許可・契約・労務・財務を調査し、発見事項を価格や実行条件、引継ぎ計画へ反映します。
- 手続きと引継ぎ:必要な許可・届出・承諾を確認し、給与支払、請求、営業・管理担当の移行を進めます。
進め方と必要期間は、資料の整備状況、買い手の検討、許可・契約の手続きにより変わります。成約時期や売却価格を一律には決められません。
詳しくは売却準備の資料、DDの確認項目、売り手向け仲介手数料の範囲をご覧ください。
制度の確認先:厚生労働省「労働者派遣事業関係業務取扱要領・第3」、厚生労働省「事業譲渡等指針」、個人情報保護委員会「通則編」。個別の手続きは適用時点の制度と取引内容に応じて確認します。
社名を出さずに、まずは論点だけ整理できます。
初期相談は匿名の集計情報から始め、候補先への会社名開示は売り手の事前同意と秘密保持契約を確認して進めます。雇用や契約に関する説明・承諾の時期も整理します。
人材派遣会社M&Aで、引継ぎ前に確認したい論点
買い手の質問は、売上やEBITDAだけでは終わりません。許可・契約・台帳・労務・請求の連続性まで説明できる状態を作ります。
派遣契約の実務
派遣基本契約、個別契約、就業条件明示、派遣先通知、派遣料金改定履歴、請求締め・支払サイト、派遣先責任者との連絡ルートを確認します。
法定帳票・報告
派遣元管理台帳、事業報告書、収支決算書、マージン率等の情報提供、教育訓練記録を確認します。報告ごとの対象期間・提出期限・添付資料と、実際の提出状況を区別して整理します。
スタッフ基盤
登録者DB、稼働スタッフ、休眠登録者、採用チャネル、欠員補充期間、離職理由、再稼働率を分解し、譲渡後も採用・稼働が続く根拠を示します。
派遣先ポートフォリオ
上位派遣先依存、職種別粗利、派遣先別契約更新率、滞留債権、クレーム履歴を整理し、買い手の不安を事前に減らします。
