売却を決める前に、資料と希望条件を整理する
人材派遣会社の売却準備は、資料の所在を確認することから始められます。財務、許可、稼働人数、主要派遣先、引継ぎの希望を整理し、自社での継続と第三者への承継を判断する材料を作ります。
この記事の要点
- 直近3期を目安に財務と月次推移を整理し、継続的な収益を説明します。設立から3期未満の場合は、ある期間の資料を使います。
- 労働者派遣事業許可、有料職業紹介許可、更新時期、事業所要件を確認します。
- 主要取引先別の売上、契約期間、稼働人数、粗利率を整理します。
- 派遣スタッフ、登録者、営業担当の定着と引継ぎリスクを確認します。
相談前に確認したい7種類の資料
以下は整理の目安です。全てを初回に提出する必要はありません。対象期間、集計日、担当者を付け、共有する範囲は相談の段階に合わせて決めます。
| 会社と希望条件 | 事業所、許可・事業区分、株主、代表者の役割を整理します。希望時期、雇用・拠点の維持、代表者の残留などに優先順位を付けます。 |
|---|---|
| 決算・月次業績 | 決算書・申告書、月次試算表、事業別の収益を用意します。役員報酬や一時的な損益を調整する場合は、元の数字と根拠を残します。 |
| 借入・資金繰り | 借入残高、返済、保証、現預金、売掛金と未払費用を確認します。給与支払と派遣先入金の時期を並べ、必要な運転資金を説明します。 |
| 派遣先・契約 | 派遣先別の売上・粗利、契約期間、更新・解約条件を一覧にします。大口顧客への依存と、株主変更や契約移転に関する条項を確認します。 |
| 稼働・採用 | 登録者総数と実際の稼働人数を分け、月次の採用・退職、職種・地域、採用経路と費用を集計します。個人名入り資料とは分けて保管します。 |
| 許可・労務 | 許可証、更新期限、届出、契約・台帳、待遇決定方式の資料、勤怠・賃金、教育訓練、行政指導への対応状況を確認します。 |
| 担当者・システム | 営業、コーディネーター、給与・請求の担当者と代替体制を整理します。利用システム、委託契約、データの移行可否も確認します。 |
資料がそろわないときの進め方
まず「手元にある・所在を確認中・未作成・専門家確認が必要」に分類します。月次集計がなければ、会計や給与・請求システムから取得できる範囲を確認します。推測で数値を埋めず、未確認の理由と次の対応を記録します。
管理上の問題を見つけた場合は、対象範囲、影響額、是正状況を分けます。売却までに直す課題と、契約条件や引継ぎ計画に反映する課題を相談します。
秘密保持を前提に進める理由
初期相談では、職種・地域・規模などをまとめた匿名概要を使い、スタッフ名簿や派遣先名入りの一覧を最初から渡さないようにします。候補先への会社名開示は、売り手の事前同意と秘密保持契約を確認して進めます。個人情報の共有は、利用目的・必要範囲・閲覧者を別途確認します。
準備ができたら、資料の整合性を確認する
資料を集める段階と、適切に運用できているかを確認する段階は別です。人材派遣M&AのDDチェックリストで許可・契約・労務の照合方法を確認し、株式譲渡と事業譲渡の違いに応じた手続きを整理します。
仲介会社への相談では、支援範囲と費用の発生条件も確認します。当センターの売り手向け仲介手数料は成功報酬まで0円です。税金・登記費用・外部専門家費用等は別途発生する場合があります。詳しくは料金と対象範囲をご覧ください。
制度の確認先:厚生労働省「労働者派遣事業関係業務取扱要領・第3」、個人情報保護委員会「通則編」。個別の手続きと情報開示の範囲は、取引内容に応じて確認します。
売却を決める前の相談も可能です。
社名を伏せたまま、売却可能性と準備事項を確認できます。

